森林の
生物多様性評価
林業活動が生物多様性にもたらす効果の調査
戦後に植林されたカラマツ林が、全国的に伐採の時期を迎えています。上田・小県地域も例外ではありません。
にぎやかな森プロジェクトでは、伐採前と伐採後で森の生態系がどう変化するかを長期的に調査しています。植物・昆虫・鳥類を対象に、令和4年から継続観察を進めています。
昆虫まで含めた調査は全国的にも珍しく、筑波大学などの研究機関と連携して取り組んでいます。
林業活動の効果を、長期的に検証する
戦後に植林された人工林の多くが、全国的に伐採の時期を迎えています。木材を収穫したのちに新しい苗木を植え直す「主伐再造林」は、これからの林業の中心的な活動です。
一方で、伐採が森林の生態系にどう影響するかは、まだ十分に検証されていません。にぎやかな森プロジェクトでは、上田・小県地域のカラマツ林を対象に、林業活動が生物多様性にもたらす効果を長期的に調査しています。
モザイク状の伐採区画で、生態系を比較する
調査地は、上田市真田町長の浦ナシに位置する約20ヘクタールのカラマツ林です。協議会ではこの森林を21の伐採区画に分け、伐採時期によって3つのグループに区分しました。
各グループに1m×20mの調査プロットを3か所ずつ、合計9か所の固定プロットを設置しています。同一の地形条件のもとで「伐採済み」と「未伐採」の生態系を比較し、年次データとして蓄積する設計です。
専門研究機関と連携した、
複数指標の調査
植物調査では、各プロットの維管束植物の種名・草丈・開花・結実状況を年に複数回記録しています。昆虫調査の中心は、地表を歩くコウチュウ目です。「ピットフォールトラップ」と呼ばれる地中設置型の捕獲器を用います。鳥類とチョウ類は、ラインセンサス法で巡回し記録します。
本調査は、筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所、特定非営利活動法人やまぼうし自然学校との連携のもとで実施しています。
長期調査から、
見えはじめた変化
調査開始から数年が経過し、伐採済み区域では植物およびコウチュウ目の種数が高い傾向が確認されています。各プロット固有の種も多く確認され、伐採により多様な利用空間が生じている可能性が示されています。
一方、ニホンジカによる食害の拡大、外来種の侵入など、注視すべき変化も顕在化しています。長期にわたるモニタリングを通じて、今後も継続的にデータを蓄積していきます。
伐採区域でコウチュウ目の種数が増加していることを確認
9つの調査プロットで採集したコウチュウ目を分析したところ、伐採済み区域では未伐採区域に比べて種数が明らかに多いことが確認されました。プロット固有の種も多く検出されており、新しい環境がいきものたちの定着を促していると考えられます。 今年度は、スズキコエンマコガネ、コアオハナムグリなど新たな種も確認され、ニホンジカの分布拡大との関連も示唆されます。来年度は調査手法を精緻化し、傾向を継続的に検証していきます。